1960年代以降、高度経済成長とともに外食産業が発展し、1970年代以降はコンビニが台頭。いつしかどこの街にも見慣れた外食チェーンやコンビニ、スーパーが立ち並ぶようになった。経済や技術の発展にともない、人々のライフスタイルや食卓も、ゆっくりとだが大きく変化してきた。
日本の台所として食を支えてきた、築地は「伏高」という鰹節仲卸屋さんへお邪魔した。
八百屋さんや魚屋さんも見かけなくなった昨今、鰹節屋さんを訪問するのも人生で初めてである。
「温暖化の影響か、近頃は昆布が減少してきてね」と話してくださったのは、店主の中野克彦さんだ。
大正7年、日本橋の鮮魚仲卸として始まった「伏高」は、大正12年の関東大震災後に中央卸売市場が築地に移転したのをきっかけに鰹節仲卸としてのれんを掲げ、以来鰹節や昆布、煮干しなど海のだしの卸売業を営んできた。
サラリーマンだった中野克彦さんが「伏高」を継いだのは、昭和から平成になる頃。
築地にありながら、昔ながらの良質な原料からきちんと丁寧に加工された食材を手に入れにくくなっている現状に気づいた中野克彦さんは、良質な食材を求めるお客様と、昔ながらの方法で丁寧に食材を作る製造家の架け橋になろうと考え、オンライショップも始めたのだそう。
オンラインショップには、商品情報だけでなく出汁のとり方や食材に関するコラムなど情報が満載だ。しかし、どれも宣伝のように飾り立てられていない。少し都合の悪いことも、困っていることも詳らかにされているその文章からは、真摯な姿勢とお人柄が十分に伺える。
「化学調味料無添加」ー演出された味と、自然のうま味
世に出回っている食品や出汁パックに「化学調味料無添加」と謳った商品は多いが、裏面のラベルには「酵母エキス」と表示されている商品は実は多い。
酵母エキスは、酵母に酵素処理等をしてうま味成分を抽出し精製しているもの。天然素材で作っているため分類上は食品にあたるが、コストのかかる鰹節や昆布を使用せずにうま味を添加できるものだ。
「味は技術で作れるんだよ」と中野さんは言う。
食材はなくとも、カレーの味、キムチの味、明太子そのもの味だけでなく、出汁の味まで化学の力で作れるのだそう。
酵母エキスをはじめとした化学の力で”演出された味”は、製造コストを下げるために多用され、気づかないほど私達は慣らされている。
事実、天然の良質な食材だけで作られたものを「味が薄い」と感じる方も多いのだとか。
何を食べるかはその人次第。でも、きちんとした旨い食材を食べたほうが人も産業も豊かになるんじゃないか。
時代の流れも早く、忙しい日々を送る現代人。きちんと調理をし、一日の食事の時間をゆっくりととれる家庭も以前よりは少なくなっているだろう。
調理の時間を短縮するため、より手軽で便利で安い食材のほうが圧倒的に売れるのが現実。時間がないとき、さっと手軽な調味料を使うこともひとつの選択肢だろう。
ただ、自然の恵みいっぱいの素材や素材本来の味を知ること、その素材から季節を感じること、時間を楽しむことは人生の豊かさのひとつではないだろうか。
また「真っ当な食材」を味わい楽しむことが、日本の伝統の食文化を担う製造家たちを応援することに直結していることも忘れてはならないだろう。
美味しくなければ返金可能、「良質な素材を丁寧に加工した、真っ当な味」
「築地 鰹節 伏高」オンラインショップでは、初めてのお客様が美味しくないと感じたり、期待はずれでがっかりしたら、商品到着後10日以内に連絡をすれば返金をすると約束をしている。長きに渡って料理店や小売店に卸売をしてきた自信の表れだ。
また、店頭では「鰹節の削り方講習会」を無料で行っている。
良い素材を丁寧に加工した「真っ当な味」知りたい方は、「築地 鰹節 伏高」のウェブサイトへどうぞ。
店舗情報
築地 鰹節 伏高
東京都中央区築地6-27-2
https://www.fushitaka.com
※鰹節の削り方講習は、WEBサイトをお読みになり店頭へお電話をお願いいたします。
https://www.fushitaka.com/cont/shinan/