江戸で独自の食文化として発達した蕎麦。その歴史は江戸時代までさかのぼり、都市経済の発展や製麺技術の発達による蕎麦のファストフード化、参勤交代などで単身赴任の男性が極端に圧倒的に多かった江戸での外食産業の発展、安くて質の良い醤油の流通などさまざまだが、当時の江戸の躍動感を感じる食べ物のひとつだ。
蕎麦屋の激戦区浅草橋駅から徒歩2分ほど、伝統と革新性をコンセプトにした「浅草橋 百そば」がある。古い町並みの中にひときわ目を引く和モダンな外観は、コンセプトを表しているようだ。
日本各地を探し歩いて見つけた極上そば粉と、そば粉のために和食のプロがブレンドした上品な味わいのオリジナル出汁
あまり知られていないが、蕎麦の国内自給率は約20%。そのほとんどを輸入に頼っており、国産そば粉を使用している蕎麦店は比較的希少だ。
「どうしても美味しい蕎麦を提供したい」と、極上のそば粉を求めてオーナー自ら日本各地へ出向きようやく見つけたそば粉は、日本最大のそば生産量を誇る北海道のメーカーのそば粉だ。風味の良さと薫り、食感に惚れ込み、直接仕入れている。
「挽きたて、打ちたて、茹でたて」の「3たて」がよいとされる江戸前の蕎麦。惚れ込んだそば粉だからこそ、麺の製法や形状などすべての工程において鮮度と風味を損なわないよう最大限の配慮がされている。
製粉の過程において、一般的には機械で製粉するが「浅草橋 百そば」では石臼でゆっくりじっくりと挽く。そばの実は熱にとても弱く、機械で挽くと熱で風味が飛んでしまうからだ。丁寧に粗挽きしたそば粉の風味と質を損なわないよう、店内の専用保管庫で一定の湿度・温度に保ち管理している。
つなぎとそば粉の割合は二八。つなぎを入れることでしなやかさが加わり、喉越しがツルツルで風味が上品に薫る江戸前風にした。細打ち麺ながら、表面はツルツルだが少しザラつきのでる粗挽きにし、出汁が絡みやすようにしている。
その極上蕎麦に合う出汁を提供しているのは、創業160年以上に渡って食道楽の街大阪の食文化を支える出汁と和食のプロフェッショナル「山長商店」。「浅草橋 百そば」の蕎麦の美味しさを引き立てる出汁をオリジナルでブレンド。鯖、宗田鰹、鰹節、うるめ、真鰯などを使用し、魚が際立ち過ぎず角が立たないよう、しっかりとした上品な味わいの出汁にした。
風味のいい蕎麦と上品な出汁は、爽やかな薫りとともにつるりと喉を通り、次の一口を急ぎたくなってしまう美味しさだ。
素材本来のうま味が味わえる海老、鶏天は日本料理のプロが選びぬいた厳選素材
蕎麦と合わせて味わうトッピングも選ぶ楽しみのひとつ。蕎麦のトッピングの王道”海老”
と、変わり種の”鶏”に注目したい。
「天然海老天ぷら蕎麦」「薬膳カレー天然海老天ぷら蕎麦」に贅沢に使用されている海老は、自慢の南洋産天然海老だ。
海老も国内消費の約90%を輸入に頼り、その輸入海老の大半は養殖エビ。養殖エビは、養殖時から加工に至るまで多くの合成添加物を使用しているが、「浅草橋 百そば」のエビは天然海老。海老本来のうま味と歯ごたえを安心して楽しめるのも希少だ。
「浅草橋 百そば」の人気メニュー「名物鶏天蕎麦」は、伝統的な江戸前蕎麦にはないメニュー。器の半分を覆い尽くしてしまうほどたくさん入った鶏天は、和歌山産「紀州うめどり」を使用している。紀州うめどりは、和歌山名産の梅から抽出した梅酢を餌に混ぜて育てられたブランド鶏。クエン酸を豊富に含んだ梅酢入り飼料で、のびのびとストレスなく育てられ、コクと弾力と柔らかさが特徴の鶏肉。脂っこくなく蕎麦との相性も抜群だ。
かき揚げや天ぷらの衣もカリッカリで十分な食べごたえ、つるりとした喉越しの蕎麦とのコントラストが味わえる。
サイドメニューなのに主役級に美味しい。徹底した美味しさと安全な食材へのこだわり
「浅草橋 百そば」は蕎麦と出汁への一球入魂ではなく、脇を固める丼ものや定食の品質の高さにも触れずにいられない。
米が美味しいとつい通ってしまう、日本人にとってポイントが高い米。一般的な飲食店の米は、産地や品種、生産年度の異なる米を複数ブレンドするブレンド米を使用することが多いが、「浅草橋 百そば」の米は、同じ田の単一品種の米を使用することで品質を保っている。
そして特筆すべきは、三重県紀宝町の米を使用していることだ。三重県の最南端に位置する紀宝町で採れるコシヒカリは、粒が大きくお米本来の甘みを味わえる極上の米。しかし収穫量に限りがあるため一部の料理人にしか知られていない希少な米だ。
その米に、温玉ごはんや愛媛県産しらすをたっぷりかけた単品ごはんは、サイドメニューではなく間違いなく主役級だ。
蕎麦の薬味として欠かせない葱も、京都産の本九条葱を直接仕入れている。爽やかな蕎麦をほんのりした甘みと風味、ほどよい歯ごたえを味わえる。
テーブルの上に置かれたオリジナルブレンドの山椒七味やお冷にもこだわりがある。
山椒七味は、貴重な国内産唐辛子や辛味がすくなく柑橘類のような爽やかさが楽しめる朝倉山椒をはじめ、辛味だけでなく複雑な味わいが広がる最上級の七味に仕上げた。蕎麦と出汁の味をさらに引き立てる奥深い味わいだ。
お冷も、水や緑茶ではなく、高血圧や動脈硬化など様々な生活習慣病の予防効果があると言われるアフリカの有機栽培ルイボスティーを提供する徹底ぶりだ。
お客様の健康を考え、食文化と伝統を守りながら、時代の変化とお客様にご満足いただける味を求めて変わり続ける「浅草橋 百そば」。
シンプルな和モダンのスタイリッシュな外観と清潔感あふれる店内、気持ちのよい接客は女性でも入りやすい。メニューや素材に対するこだわりとおもてなしへの想いが詰まった骨太な蕎麦店だ。
店舗情報
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浅草橋百そば
アクセス:都営浅草線 浅草橋駅A6出口より約50m
営業時間:11:00〜16:00(L.O. 15:30)
定休日:なし
住所:〒111-0052 東京都台東区柳橋1-32-5
電話: 03-5846-9138