日本人が発見したうま味
日頃よく耳にする「うま味」とは、甘味、酸味、塩味、苦味に続く5番目の味覚で、グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸などの総称です。
うま味が発見されたのは100年ほど前。それまで基本味は甘味、酸味、塩味、苦味の4つであると長く思われてきましたが、この4つでは説明できない味ーうま味ーを発見したのは、旧東京帝国大学(現東京大学)の池田菊苗博士です。
母乳と羊水に含まれるグルタミン酸と昆布だし
母乳は赤ちゃんが生まれて初めて口から摂取するもの。その母乳にはうま味物質のグルタミン酸が豊富に含まれています。母乳だけでなく、お母さんのおなかの羊水にもグルタミンが含まれています。
母乳のグルタミン酸の濃度は、昆布だしとほぼ同等であることがわかっています。
うま味は赤ちゃんにとって、お腹の中にいる頃から慣れ親しんでいる味だと言えるでしょう。
うま味の相乗効果と美味しい出汁
うま味物質のグルタミン酸とイノシン酸、グアニル酸は、これらそれぞれ単独よりも、組み合わせることでうま味が飛躍的に強く感じられることが科学的に照明されています。
このことが証明される昔より、うま味の相乗効果は世界各地で利用されてきました。
日本料理のかつお節と昆布の出汁が美味しいのは、イノシン酸を多く含むかつお節とグルタミン酸を多く含む昆布を使用しているからです。
また、西洋料理のフォンやブイヨンは、玉ねぎや人参などの野菜と、仔牛や鶏などの肉・魚類を合わせて作ります。野菜のグルタミン酸と肉や魚のイノシン酸の掛け合わせによって味わい深い出汁がとれるのです。
長ネギや生姜と鶏ガラ、豚骨で作る中国料理のスープも同じです。
心を満たすやさしい出汁
塩味や酸味の刺激ではなく、どこかほっと安心するうま味。うま味を上手に摂って、身体の声に耳を傾けてみませんか。
関連リンク:世界の出汁
参考サイト
特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター